一月 1月9日(2015)

 冬の日本海。季節風は強いが珍しく空は明るい。ここは庄内浜も秋田県との県境。鳥海山の噴火で堆積し露出した溶岩には素朴な十六羅漢像が刻まれている。海で遭難した漁師を弔うために江戸時代に刻まれた云う。
 
 秋に始まった鮭漁も十二月で終わった。十二月の半ば、前後二週間ほどの間に時化とともに接岸するハタハタも深い海へと帰って行った。
 雪解けの3月まで重苦しい冬の帳に包まれる。

 
 
    1月11日(2015)

 二月に入ると、16羅漢岩のすぐ近くに流れ下る月光川の支流牛渡川にある鮭の人工孵化場からの稚魚の放流がピークを迎える。箕輪、升川の量孵化場は日本有数の放流数を誇る。

 箕輪人工孵化場の中に入れてもらった。鳥海山の伏流水を引き込んだ無数の木枠の中の卵が孵化し、稚魚は網目を通り抜けて外の飼育水槽へと集められる仕掛けになっている。
    1月12日(2016)

 十一月頃から獲れ始める大型のサケを地元ではメジカと呼ぶ。普通のものでも七~八キロ、大きいものは十キロにもなる。これの寒干しが食べごろになった。一か月余も軒先に吊るし干しにしてあったものだ。重さは生の時の半分以下になる。

 出刃は菊一文字。この出刃をもってしても固くしまった身は捌くのには苦労する。隣の新潟県村上市が、この寒干しの生産地として名高い。結構な高値で売られている。

 何か月もかけてカンカンに固くした寒干しは薄くスライスしてから酒に浸し、酒の肴にするのが定法らしいが、我家のは半干し状態だ。焼いて食べると熟成したサケの旨味が味わえる。
    1月31日(2016)

 抱卵したタラが魚屋の店頭に並びだした。キロ当たりオスが2千円、メスが千円ほどだ。オスの白子が珍重されるのでメスよりオスが高くなる。

 年金暮らしにキロ2千円のタラは買えない。四~五キロのオスだと万札が出ていく。

 これはメスだ。タラは頭と腹を除くと半分になってしまう。大きな頭はドンガラ(アラ)汁の主役で、骨の周りのゼラチン質が美味い。丹念にせせる。
 真子は鷹の爪を入れた醤油漬けが美味い。これは冷凍保管して酒の肴にする。夏場まで楽しめる。
   
    二月
  
2月23日(2015)

 二月も半ば。海に降るサケの稚魚を狙ってスズキが河口に群がる。そのスズキを狙って釣り人のルアーが飛び交う。

 軽業師のように身軽にテトラに飛び移り、波しぶきが舞う中、若い釣り人たちの熱い戦いが繰り広げられる。

 足腰が軟弱になった年配の釣り人は、指をくわえて熱い戦いを傍観するしかない。
   
   三月
  
3月4日(2016)

 マツバガイと云う。普段は岩や岸壁の喫水線のあたりに張り付いているが、海が時化て飛沫が盛んに降り注ぐような日には手が届く上部まで這い上がって来る。

 獲ろうと近づくと敏感に気配を察して張り付こうとする。そして一旦張り付いたら梃でも剥がれない。見つけたらマイナスドライバーを一気に差し込んで剥がしとる。

 親指と人差し指で作る丸ぐらいの大きさだが、湯通しして殻から外すとアワビ、トコブシの稚貝を厚ぼったくした形で、肝、貝柱とも食感、味ともアワビ、トコブシ風だ。
     
  
3月6日(2015)

 ギバサ(アカモク)は、寒い時期、北日本海沿岸(特に秋田県)で盛んに食べられている海藻だ。湯通しをしてから包丁でたたくとメカブよりも強烈なネバネバが出てくる。これに醤油を垂らし、熱々御飯にかけて食べると磯の香と昆布の旨味が口中に広がる。

 三月頃になると、長さ1mを越す株が、浜に点々と打ち上げられる。散歩のついでに、鮮度のいいものを選んで拾ってくる。ただ、粘るものと粘らないものの目利きが必要で、雌雄株の生殖器床が成長したものを選ぶ。

 湯通しする前に、生殖器床を固い茎から外す。これが結構面倒くさい作業となる。
    粘るものにあたると写真のようにフードプロセッサーにかけると千切るのに苦労するほどの粘りがでる。だし汁を垂らし、熱々ご飯にかけてズルズルとすすり込む。最高だ。
    3月17日(2016)

 鳥海山の伏流水100%と云われる月光川支流牛渡川にある箕輪鮭人工孵化場で稚魚の放流がピークを迎えている。幅一間ほどの流れは稚魚で真っ黒に見えるほどだ。

 この稚魚を狙ってハヤの大群やらヤマメ、イワナ、ニジマスが集まってきている。サギ避けの漁網で放流口付近の川面を覆っているが、網の無い下流部ではサギが乱舞している。そして河口ではカモメの大群とスズキ、稚魚の試練は続く。
    3月18日(2016)

 三月も半ばになると北西の季節風が弱まり凪の日が多くなる。そんな日は、海の水は澄み、堤防の上から海底が見える。目を凝らすとナマコが点々と散らばっている。極上とされる赤ナマコが多い。しかし、漁師が採っている姿を目にしない。商売になるほどは採れないのだろう。

 *ナマコは漁業権が設定されていて漁師以外は採取できないことになっている。
   
    四月
   
4月2日(2015)

 四月に入ると、酒田北港の水路(漁業権が設定されていない)は、十二月のハタハタ釣り以来の賑わいを見せる。コアミ(地元ではコアメと呼ぶ)の群れが大挙して押し寄せるからだ。人々は水面近くに浮いてくるコアミを笠網を引いて捕まえる。

 海の色が白く濁ったように見えるほどの濃い群れだと、一網で大きなボール一杯も採れる。

 寄生虫が混じることで生食が禁止され、店頭には出回らなくなった。それでも、捕れたてを生のまま酢醤油で食べる楽しみは捨てられないのである。あとは、自己責任だ。

    コアメを掬うのに干物干しの網籠を改造して使っていたが網目が細かすぎてコアメが水流の変化を感じて網の入り口を避けて通ってしまう。そこで通販で見つけた四手網を使うことにした。これが結構具合が良くて入りがいい。

 コアメは潮時になると水面近くを白い帯となって移動する。四手網をコアメの移動方向からゆっくりと引いてくるとずっしりと重くなるほど入ってくれる。行く度にバケツ2杯分を持ち帰っている。

 持ち帰った大量のコアメだが、夏場のアジ釣りのコマセ用として小分けして冷凍保存するほかに佃煮にしてこれも保存食にしている。

    コアメの佃煮だが、醤油、酒、みりんを各1に砂糖を適量加えた調味液をかけてひたすら掻き混ぜながら煮詰める。煮汁が無くなったら出来上がりだ。
 この時は山ブドウ液を加えた。美味そうな赤色に仕上がった。
    四月
   
4月2日(2015)

 渓流解禁日二日目。それにしても、よく肥えたニジマスだった。孵化場から放流されたサケの稚魚を飽食した奴だ。

 白波が立つ水深40~50センチほどの、何の変哲もないポイントだった。イクラ餌を放り込むとすぐに目印が動いた。軽く竿先を持ち上げ聞いてみる。大物の感触だ。ハリスは0.8号。足場から水面までは1mはある。刺激しないように静かにゆっくりと竿を矯めてやる。しばらくは忍耐の引っ張りっこだ。スキを見ては頭を水面から持ち上げ空気を吸わせてやる。何度も何度もだ。

 ようやく抵抗が止む。道糸を掴み持ちあげる。大層な重量感だ。・・・暴れるなよ・・・。ドサッ。それは重厚な音を立てて足元に転がった。
     4月6日(2015)

 渓流釣りを終えて帰る道すがらタラの芽を摘む。木は至る所に生えている。しかし、食べごろの大きさに伸びたのに出会うのが結構難しい。何しろライバルが多い。もう二~三日してからと残して帰ると、次に行ったらすっかり無くなっていたりする。

 山菜の王様ともてはやすほど美味いとは思わないが、やはりこれの天ぷらは美味い。
     4月10日(2015)

 大きかったらサクラマスと言えそうな綺麗な銀毛ヤマメが釣れた。

 子供の頃は餌のミミズはどこの百姓屋にもある堆肥置き場でドンブリ一杯でも捕ることが出来た。しかし、今は釣り具屋で化粧箱に収まったものを500~600円も出して買わなければならない。これが億劫で、最近はもっぱらルアー釣りだ。これが結構よく釣れる。

 川原の雪解けは早い。春の山菜では一番早く出回るコゴミも摘んで帰る。
     4月7日(2016)
 
 2016年は海サクラマスが好調だった。私は釣っていないが酒田北港で他人が釣り上げる場面を何度も見ている。型は40センチ前後とそれほど大きくはないが銀色が眩しかった。

 このサクラマスは漁師の刺し網に掛かった頂き物。輝く銀色は失われていたが鮮度はまずまずだった。

     4月7日(2016) 

 山菜の出は年によって異なる2016年は例年に比べて10日ほど早いと云われた。初のタケノコが4月14日に採れた。
     4月20日(2015)

 この手のルアーにヤマメはよく反応する。ルアーは消耗品だ。水底の石の間に挟まったり、対岸の草木に引っかけたりとロスが多い。

 いちいち20キロ離れた釣具店に買いに行くのも億劫なので通販で買うことにした。カタログを見て、カラーと重さで注文したら、重量は同じだが厚くて短いものが送られてきた。明らかに不良在庫一掃品だ。この手もあったのかと感心する。
     4月25日(2016)

 ここ月光川中流域のイワナは皆色が黒い。岩を覆う黒い苔のせいかもしれない。
    4月25日(2016)  

 洗沢川のほとりを歩いていたらキジがいた。頭は特有の天然色だが羽が妙に白っぽいキジだった。静かに近づいていくとキジもトコトコ先を歩いて行き川原の藪の中に姿を消した。そろりそろりと消えた藪のあたりに近づくと、さすがに驚いてバタバタと大きな羽音を残して対岸に飛んで行ってしまった。
 羽の白さから高麗キジのようだ。朝鮮半島とどのような交流があったのかなどを思ってみて少し壮大な気持ちになったりしたものだ。

 
     4月28日(2016) 

 2016年はワラビの出も早かった。まだ人跡未踏のマル秘の場所で太さが親指ほどもあるいいワラビが採れた。
 重曹を一つまみ入れた80℃~90℃の火を止めたお湯に浸し自然に冷まして一晩アク抜きをする。
 歯ごたえのあって粘る絶品ワラビに仕上がった。

 
     4月27日(2015) 

 サワラの若魚サゴシが回ってきた。白身で淡白だが美味しい魚だ。メタルジグをゆっくり引いてくるも良し、段をつけて横引きするも良し。日の出、日没前後が狙い目だ。
 
   4月27日(2015) 

 ちっちゃなシタビラメがジグにスレで掛かってきた。放流しても生き残る可能性は少ない。食べて供養だ。
   
   五月
  5月2日(2016)

 2016年はいきなりワラサが釣れだした。60センチ級だ。しかし、長くは続かなかった。そして前年は大漁だったイナダはついに姿を見せなかった。
     5月2日(2016) 

 サワラの若魚サゴシの回遊も始まった。これも60センチはあるが痩せている。癖のない白身で和洋どちらにも合う私の好きな魚のひとつだ。
     5月12日(2015) 

 イナダの魚影が濃くなった。時合が来ると、ナブラが立つ。ルアーの投入圏内に入ったらチャンスだ。着水して底までフォールさせ、シャクルとヒットする。

 ただ、今の時期のイナダはパサパサで、水っぽくて美味くない。フライならどうにか食べられるかな・・・。
     5月16日(2016) 

 ワラサ2尾に外道のコノシロ。以前サビキに掛かったコノシロを目の前でワラサが丸呑みしてくれて、釣りあげたことがあった。大好物らしい。
 コノシロは小骨が多くてあまり喜ばれる魚ではないが、獲れたての背の部分を2mmほどの厚さに切って生食すると小骨が気にならず結構美味い。
 
     5月18日(2016) 

 待望の乗っ込みアジやって来た。尺アジとまではいかないが25センチ超が混じる。三枚におろしてみると身が飴色透明でいかにも美味そうだ。回遊のアジは脂が乗ってもトロトロと云うわけには行かないが、これは脂が乗っている証拠だ。
 刺身、ナメロウと堪能する。

 

 
   
  5月19日(2015) 

 堤防での釣りを終えて帰る途中でサーフに鳥山が見えた。近寄ってみると、小魚を追いかけてイナダが波打ち際まで群がっている。周囲には釣り人が一人もいなかった。
 ルアーを投入、竿をシャクる。即ヒット!!これの繰り返しが際限なく続く。

 30尾は越えた。一尾が1キロはある。砂浜に打ちあがられた壊れかけのプラスチックのかごからは溢れそうだ。駐車場まで運ぶのは限界だった。いさぎよく竿をたたむ。
   
  5月23日(2016)

 波止釣りは回遊して来る時間帯をおさえれば間違いなく釣れる。
 いつものポイントは午前3時半前後に回遊が始まる。携帯のアラームを午前2時半にセットしておく。道具を積み込み釣り場に着くのが午前3時。回遊が始まる前からコマセを撒き魚を寄せるのが常道だ。
 魚が居付くのは小一時間。入れ食いタイムは20~30分。この間以下にて返し良く釣るかが勝負だ。
 22~26センチ級50尾超。大漁だった。
     5月23日(2015) 

 土手の笹薮にタケノコがにぎやかに出てきた。細くてネマガリタケのそれとはとは比べるべくもないが、春を告げるうれしい山菜だ。
 
 味噌汁に入れると、ちょっとのど元をくすぐるようなあの懐かしいササダケの味がした。
     5月24日(2015)

 今朝もイナダが大漁だった。少し抵抗があるが鮮度を保つために首折れにする。こうすることで、死後硬直までの時間が伸びる。

 こんなに釣っていいのだろうか・・・。
    5月26日(2016) 

 メタルジグの着底と同時にヒット。重量感はあるがワラサにしては引きが足らない。慎重に巻き上げてくると頭でっかちの大魚が水面から現れた。竿で跳ね上げるには重すぎる。タモは持っていなかった。竿先を折らないように注意しながら足元に寄せて糸を手繰る。糸が指に食い込む。
 後で計ったら45センチ、1.3キロだった。産卵直後なのか随分と痩せていた。
 
  5月27日(2015)  

 釣りは時合だ。この日は夜明けに合わせて出かけた。山形から来て徹夜でアジを狙う常連さんがいた。25センチ前後の良型のアジが釣れていると云う。隣で竿を出す。ほんの一時だったが、私にも釣れた。聞くと、かつては30センチを超す大アジが結構釣れたという。

 かつて福岡に住んでいた頃のことだ。五月の連休前後になると30センチ級のアジが、大挙して宗像神湊の港内に入ってきた。

 やはり、海は繋がっていた。
   
    六月
  6月5日(2015)

 大きいのは、あきらかにヤマメと違う。サクラマスだと思うが確信はない。
  それにしても、ヤマメが活発にルアーを追ってくる。夜明けとともに起き、気が向いたらヤマメを釣る。帰りにちょこっと山菜を頂いて帰る。

 明日は波止釣りだ。
 
   6月4日(2016) 

 餌釣りもサビキ釣りも連日朝夕絶好調で、22~23センチ前後の良型が40~50尾は平均して釣れる。隣近所へのおすそ分けもそろそろうんざりされそうなのでワーム釣りを試みた。シリコンゴム製の蛆虫みたいな疑似餌で釣るのだが、これが結構面白い。
 この辺のアジは小魚を食べているようで、このワームのアクションが食欲を誘うらしい。コマセやサビキ仕掛けに拒否反応を示す時などは効果抜群だ。
 この日はいきなりカマスが食いついてきた。今の時期もカマスはいるらしいのだ。2時間ほどで中型アジ10尾余の釣果だった。

 
     6月7日(2016)

 今季初の白ギス釣りだった。釣り場は河口の流心。良型キスが竿先を引っ手繰るようなアタリがたまらなかった。
 1尾特大のがいるが、これはいわゆるヒジタタキと称する尺近い大物だ。他のキスもほとんどが20センチ近い良型だが一緒にすると親子ほどの差がある。
   6月10日(2016)

 コタマ貝と云う。釣りの帰りに砂浜の浅瀬に手を突っ込んで採ったものだ。
 アサリに似ているが平べったくて貝殻の表面はすべすべした感じだ。
 味噌汁にして食べたがハマグリのような上品な旨味があった。
     6月14日(2016) 

 17~18センチの小アジが混じるようになった。このぐらいのサイズの味は酢で〆て食べても美味い。手間暇を惜しまず50尾ほどをアジ酢にしてみた。
 中骨は空揚げに。臭みが気になる人は血合いを取ってから揚げるといい。
 
  6月13日(2015)

 秋鮭の燻製を作るべき燻製器を購入した。練習を兼ねてヤマメと豚バラの燻製を試みた。チップはサクラ。熱源は炭。傍に七輪を置き、そこで燠(おき)を作り、チップを燻すことにした。ところが、燠の管理が難しい。ちょっと目を離すとチップに熱を奪われて消えてしまう。燠を供給するのに4時間ほど付きっ切りになってしまった。


 
    
6月16日(2015)

 イサザあるいはイサダと云うらしい。アミの一種だ。時々、砂浜の波打ち際でドジョウ掬いのような仕草をしている人を見かけることがあった。傍に行き話を聞くと、釣り餌にするイサザを掬っているところだと云う。
 
 イサザは砂に潜っているらしい。引き波に合わせて網を掛け、砂底を足でドンドンと踏みつける。すると、砂と一緒に、イサザが一つかみほど入っていたりする。

 アジ釣りなどの時に、これを乾いた砂と混ぜて海面に撒いてやる。寄せ餌の効果が抜群で、タナゴバリと見間違うような小さなイサザハリにこれを刺して餌にするとさらに釣果が上がるのだった。
   
  6月24日(2015)

  白ギス釣りの模様が良くなってきた。防波堤からやや深めを狙うと良型のキスが掛かってくる。
 
 白ギス釣りのコツは、仕掛けと餌付け。吸い込みのいい小さくて細いハリに、じゃりめは針先からほんのちょっとだけはみ出すぐらいの大きさにする。

 針先から長くイソメが飛び出していると、餌だけ食いちぎられてしまう。

 
     6月25日(2015)

 白ギスは天ぷらに限る。ゴボウ天、カボチャ天も付け合わせには必須。
    
  6月29日(2015)

 海は凪だ。さざ波一つない。防波堤の上からのぞき込む。底まで見える透明な海だ。砂底に無数の魚影が見える。白ギスの群れだ。

 遠投は不要だ。10~20mの近場で入れ食いだ。福岡にいたころ、釣りに行くとやや沖目に、よくキス網が入っていた。この白ギスの集団を見て、網でとることの実感を初めて味わう。
   
   七月
  7月1日(2015)

 波止で、10~15センチの小アジが良く釣れる。寄せ餌無しでもサビキで入れ食いだ。


 去年は豆アジばかりだった。今年は、様子が違う。
    
  7月2日(2015)

 空揚げ、南蛮漬けも食傷気味で、目先を変えて甘露煮を作ってみた。
 甘露煮には素焼きの工程が必須だ。水は使わず焼酎をたっぷり入れる。少量の酢とキビの砂糖を加えることで味に深みやらコクが増す。
    7月3日(2016)  

  レイシ貝と云う。庄内浜の夏の味覚の一つとされ、少量ながらもスーパーの魚売り場にパック詰めで並ぶ。
 早朝釣りで顔を合わせる釣り仲間からの頂き物だ。磯遊びで見かけたことはあったが食べるのは初めてだった。
 味噌汁や塩茹でが定番らしい。両方とも食してみたが、巻貝によくある苦みなどもなくほどよい貝のダシが出て美味かった。
   
  7月8日(2016)

 段々と小アジが増えてきた。頭、腹、尻尾を除き素揚げにする。大きめのものには十字に包丁の切れ目を入れておく。二度揚げがいい。揚がったらすぐにタレに漬ける。ジュッと心地よい音がする。
 タレは酢が適量、醤油、味醂、酒(焼酎)各1の割合で、擂りおろしのタマネギと砂糖も適量入れる。細く輪切りにした鷹の爪は味を引き締めてくれる。
 好みで、タマネギ、ニンジンのみじん切りを加えてもいい。
   
  7月20日(2015)

 ヤマメの活性がすこぶる高い。狙いは、数百メートルおきに設けられた堰堤の下。ルアーが着水すると同時に掛かってきたりする。

 水面すれすれに飛ぶ羽虫の数も増えてきた。ヤマメは飽食して丸々と太っている。
    
  7月25日(2015)

 海釣りをしていると、クラゲの触腕が道糸に絡んで厄介な時がある。カツオノエボシなどは触るとピリピリするから、外すのに往生する。内湾でキス釣りなどしていると、クラゲの大群に出会うこともある。どれも、魚釣りには邪魔ものでしかなかった。

 これはクラゲ水族館の異名を持つ加茂水族館の大水槽だ。無数のクラゲがゆるやかに回遊する。発光器をもつクラゲはまるでイルミネーションのようだった。
   
  7月23日(2015)

 今朝も薄暗いうちに早起きして川に向かう。ルアー釣りは、ルアーを追う時と追わない時が極端だ。今日は、よくルアーを追ってくれた。

 まだ7月末だというのに婚姻色に染まったものもあった。
   八月
  8月10日(2016)

 朝マズメの釣りを終え駐車場に戻った時だった。見ず知らずの若者だったがおずおずと近づいて来て結構な大きさのスズキを差し出すのだった。(釣れ過ぎて)クーラーに入らなくてと云ったような気がしたが、それよりもこちらの当惑が強くて上の空だった。ともかくくれると云うのは確かなようなのでもらう意思表示をした。
 体高が大きい60センチを超す良型のスズキだった。今が旬だ。白身に脂が乗って絶品だった。
    8月20日(2016) 

 大物の外道を釣り上げた時には幾つかの運が重なっているものだ。
 このヒラメは体長が45センチあった。サビキにかかったカマスに食いついてきた結構な大物だ。これを2号のハリスで上げるには、まずハリ掛かりが浅くて糸が鋭い歯に擦れることがなかったこと、そして近くにタモを持った釣り人が居たと云う運があった。
 それと、獲物が何か分からず、緊張もせず、相手の動きに合わせて無心にやり取りをしたこともあった。
     8月21日(2016)
 
 
なんと2日続けてヒラメがヒット。こちらは50センチあった。これも近くに居た釣り人にタモ取りしてもらった。
 以後、1万5千円也のタモを買い、専門の仕掛けでヒラメ狙いを続けたが、5回以上ハリス切れでバラシが続き、1尾もモノに出来ないでいる。特にそのうちの1回は目の前でのバラシだった。逃がした魚は大きいと云うが、50センチ超はあったような気がする。

 
   8月23日(2015) 

 今年はカマスが多い。それも、昨年の今頃は鉛筆級だったが、今年は塩焼きにしてもいいようなサイズに育っている。朝マズメがねらい目だ。竿先を大きくありアクションをつけてやるとよく掛かる。

 頭と腹をとって空揚げ、南蛮漬けもいい。薄塩をして冷蔵庫の中に一晩置き、丸干しにするのもいい。自己消化が早いので、釣りから帰ったら手早くした処理をする。
 
   8月24日(2016)

 ヒラメ、アオコ(ワカシ)、カンコ(カンパチの幼魚)、アジ、カマスとぴったり五目釣りだった。
 こんなに小魚が入ってきているのに、もうとっくに回遊して来てもいいイナダ、ワラサが姿の見せないのは何故だろう。
     8月26日(2016)

 小振りだがカマスの数が増えてきた。
   九月

  9月1日(2014)

 春先35センチほどだったがサクラマスを掛け、取り込みに失敗して川に流された場所で尺イワナが来た。川底に着いた黒っぽい苔と関係があるのか妙に黒くて汚れっぽいイワナだった。
     9月3日(2014)

 スプーンに尺ヤマメが来た。体長が2~3センチ大きくなると体高も随分と大きくなる。並べてみるとこの時期のアユが稚魚のようだ。
     9月6日(2014)

 今朝釣れたヤマメ3尾の腹を開いたら2尾がメスで成熟した卵が入っていた。
 体色も婚姻色だった。季節を感じる。
   9月7日(2014)

 
   
  9月7日(2016)

 カマス一色になってきた。岸壁に立ち足元の海面をのぞき込むとカマスの濃い群れが渦を巻くがごとく移動を繰り返している。
 夜が白々と明ける頃は全くの入れ食いだ。平均拇ほどの太さだ。これだけ釣れると家に戻ってからの後始末が大変だ。
     9月8日(2016)

 カマスの歯は鋭く尖っている。指が触れただけで切れて血が噴き出すほどだ。
 食いがいいとバケは飲み込まれてしまう。カマスはハリにかかってからよく動き回る。その間に歯に触れたハリスは簡単に切れてしまう。だから、入れ食いの日などは1回の釣行で3~4組のサビキ仕掛けが要る。
 以前船釣りで使っていたウィリーを持ち出して仕掛けは自製することにする。
     9月8日(2014)

 水面にうるさいほど体長10センチほどのサヨリの幼魚が群がっている。水面近くでサビキ仕掛けを上下させるとその小型のサヨリが掛かって来る。
 サヨリは干物にすると美味しい魚だ。丸干しにするつもりで持ち帰る。
     9月12日(2014)

 尺ヤマメが釣れた。17~18センチ級のレギュラーサイズのものと比較するとその大きさ、立派さがよく分かる。
     9月17日(2014)

 この時期アオリイカ狙いの釣り人をかなり見かける。長崎時代によく釣りに行ったので餌木は腐るほどある。しかし、ここで釣れるのは手のひらに収まるぐらいのミニサイズ。これにあう餌木は数えるほど。
 第一号が釣れた。それにしても小さい。
      9月28日(2016)

 時化続きで出漁がままならず刺し網漁師には待ちに待った初漁だった。釣り仲間の漁師の息子がその初漁で上がった新鮭を半身にして届けてくれた。掛かったサケは片手にも満たなかったらしい。
 北海道の定置網漁も不漁が伝えられている。箕輪鮭人工孵化場のサケの遡上も低調だ。漁師には気がかりな年だ。
      9月29日(2014)

 もちろん釣ったわけではない。釣りでしょっちゅう顔を合わせる漁師の息子に海に仕掛けた刺し網に掛かったサケを浜値で譲ってもらったものだ。
 初物だ。身は塩蔵して一年ぐらい熟成させたぐらいが旨味がでる。獲れたては味噌仕立てのドンガラ(アラ)汁に限る。
   十月
  10月2日(2014)

 象潟の道の駅にある魚売り場にスケソウダラが出ていた。1.5キロほどで500円の値札が付いていた。安いと飛びついた。
 タラのドンガラ汁も美味い。特にあの頭の周りのベロベロ(コラーゲン)がたまらない。
 冬場になるとタラの値段は一気に4倍ほどになる。今が買い時だ。
     10月8日(2014)

 キス釣りをしているとセイゴが掛かって来る。サーフにセイゴが回遊する季節になったようだ。
      10月8日(2016)

 夜明け前後の一時だが波止でアジの入れ食い状態が続いている。型もまずまずで20センチ前後のものが大半だ。回遊が始まったら冷凍アミと砂を混ぜたコマセで寄せて釣る。
 アジの食いが遠のくとカマスがやって来る。カマスの魚影も濃くて休む間もないくらいだ。夢中になって日が高くなったのに気付かずにいたりする。
   
  10月16日(2015)

 サケの刺し網漁が始まった。知り合いの漁師にメスザケを浜値で二本分けてもらう。もちろん、イクラが狙いだ。

 腹子を餅網に大根をおろす要領でこすりつけ、バラバラにする。イクラは海水の塩分濃度ぐらいの塩水の中に落ちるようにする。真水に浸かると固くなるからだ。何度か塩水を交換して血をきれいに洗い流す。あとは水切りをして醤油漬けにする。
     10月19日(2014)

 漁港にもやってある船の下などをワームで狙うと小型のソイやメバルが掛かる。
 持ち帰るにはギリギリの大きさだが、ありがたくプリプリの煮つけで頂く。
     10月22日(2015)  


  何度か試作をしたお蔭でサケの燻製作り本番はなかなかの仕上がりだった。相変わらず炭を熱源にしているせいで付きっ切りで五~六時間かかってしまった。
   10月22日(2015)

 豆アジに混じって20センチ級のアジが釣れた。時合を選べば秋に回遊してくる良型のアジが狙えそうだ。
    豆アジは南蛮漬けに。これだと日持ちする。大量に作った時は冷凍保存も出来て重宝する。
      10月20日(2016)

 9月中頃から釣れ出したカマスが継続して釣れている。時化を境に群れがどっこかへ行ってしまうと、三日と経たないうちに新群れが入って来る。一潮ごとに大きくなって、今はレギュラーサイズが20センチを超す。
 面倒だが三枚に下ろしてフライにすると絶品だ。行く度にと云うか、ほとんど毎日40~50尾も釣れるから近所に分けてもなお余ってしまう。フライ用に下ごしらえして冷凍庫に貯め込むことにする。
      10月26日(2016)

 イナダが数釣れるようになった。秋のイナダは肥えている。養殖ハマチのように脂が乗っている訳ではないがプリプリした刺身は結構いける。フライもいい。
     10月28日(2015)

 牛渡川にある箕輪鮭人工孵化場のサケの捕獲が本格化してきた。多い時は日に1000尾超えると云う。

 この時期、サケの卵を狙って捕獲場のあたりの流れにはウグイが群集し、ヤマメ、イワナ、ニジマスも姿を見せる。
      10月30日(2016)

 隣から川ガニを頂いた。手のひらサイズの大きな奴だ。早速茹でて食べたが手間の割には身が少なくて閉口した。メスには少量だが内子が入っていた。
 それにしても香港で食べた上海ガニは美味かったな~。 
      10月31日(2016)

 幸運にも足元までナブラが接近してきて入れ食いとなった。カタクチイワシを追いかけて来たらしい。釣り上げると生きのいいカタクチイワシを何匹も吐き出した。
 この日は30分ほどナブラが近くに留まってくれた。普通なら10分、15分の勝負だ。如何に手返しよく釣るかが勝負だ。良型のサゴシ混じりで一人で抱えきれないほど釣れた。
     10月31日(2014)

 刺し網の漁師から浜で持って行けと言われてお気持ち程度で譲ってもらったサケだ。シーズン後半に上がるサケはともかく見事なほど大きい。10キロなどというのもザラにいる。
 産卵期のサケにしては脂もあり、寒こうじに漬けて1年間冷凍保存したものはうなるほど旨い。
     
十一月
 11月1日(2014)


 丸々と太ったイナダが回遊中だ。アジやサバの群れを追いかけて来ているようだ。
     11月7日(2014)

 サケの遡上が後半のピークを迎えている。捕獲数が一日千尾を超える日もあると云う。
 箕輪の人工孵化場は戦場だった。
     11月12日(2014)

 サゴシもイナダも丸々と太っていかにも美味そうだ。特にサゴシはこのぐらいになると脂も乗り最高だ。
   
  11月14日(2015)

 6~7キロはあるだろう。立派としか言いようのないサケだ。刺し網は、網を入れてから上げるまで丸一日置くのが普通だ。水温が高いと先に掛かったサケは鮮度が落ちてエラは白くなってしまう。こうなると市場に出荷できずに沖で投棄されることになる。もったいない話である。

 オスザケは丸ごと出荷したとしても一尾500円ぐらいにしかならないらしい。ここでは船外機付きの小型船で漁をしている漁師が大半だ。その日捕れた10本、20本を出荷したところで手間代にもならない。親類や知人に配って野菜やらと物々交換した方が現実的だ。だから、メスザケの腹子しか出荷しないことになる。
    サケの刺し網に掛かった外道をよくもらう。これはオコゼだ。30センチ近くもある大物で、抱卵していて腹がパンパンに膨れていた。

 まだ生きていたので毒針を隠す背びれを調理用バサミできれいに切り落としてから調理にかかる。刺身が美味いのだが、甘辛く煮漬けてみた。
   
   11月14日(2016)


 なんとも見事なサケだ。全長は90センチを超す。体高も30センチはある。重量は8キロをオーバーしている感じだ。漁師の息子に腰を痛めるよと注意された。
 模様がまた良い。囲炉裏でできる火形によく似ている。それも雪国の色白美人の火形に。

 これをサクに切り分けて冷凍庫に保管する。ルイベだ。

      11月20日(2016)

 今年の寒干し第一弾だ。脂が乗っている大型を4尾ぶら下げた。サケは不漁らしい。今年は何尾ぶら下げられるやら。
     11月21日(2014)

 今日は張り込んでメスザケ2尾を浜で譲ってもらう。腹子の醤油漬け二腹を仕込む。
     11月22日(2014)

 60センチを越す良型のサゴシ(サワラの若魚)が回遊してきている。これまで合わせが強すぎて大型を2尾をハリス切れでばらしている。釣り糸は結節強度が弱いから油断大敵だ。

 フォールの瞬間に飛びついたヒラメは40センチほどだった。60センチ級のサゴシは脂が乗っていて絶品だった。
     11月27日(2014) 

 サケの寒干しが我が家の軒を飾っている。縄文時代以来の光景に違いない。頭を付けると見栄えがいいが今年はすっぽりと落としてみた。これの方が乾きは早い。暖冬で、モタモタしていると腐ってしまう心配があったからだ。

 刺し網で捕れた鮭には脂が残っている。空気にさらすとトバのあたりが黄色く脂焼けする。寒干しは脂が抜けた川の鮭がいいようだ。
     11月29日(2014)

 浜を歩いていたら渚に打ち上げられカタクチイワシがピチピチと跳ねていた。 
 拾って持ち帰り、丸干しにする。つい今しがたイナダの群れに追われたものらしい。渚で湧くナブラにルアーを投げ込むと入れ食い間違いなしだ。これからは渚に注目だ。
   十二月
 12月5日(2016)

 季節ハタハタがなかなかやって来ない。ハタハタ起こしが吹き荒れて治まったのを見計らい本荘マリーナまで遠征してみた。
 外海ではそこそこ竿が上がる。港内は立錐の余地がないほど釣り人で埋まっていたが釣れている様子はない。竿を出すのを断念してさらに北上して松ヶ崎まで足を伸ばす。昨日第一陣がやって来て結構釣れたらしい。この日も30人ほどが肩を寄せ合うように岸壁に並んでいた。空いている反対側の岸壁に向かう。地元の釣り人と入れ替わりになった。朝から釣って30尾ほどだと云う。
 遅ればせながら竿を出してみたが一尾も釣れなかった。

   
  12月7日(2015)

 朝食を摂り、漠然とした予感に促されて象潟漁港へ向かう。前日まで大しけが続き、今朝になってようやく小康状態に。ハタハタが接岸する条件は整った。

 ポツポツと釣れ始め、釣り人の姿が増えてきて、やがて入れ食いに。それにしても、ハタハタの先発隊はオスばっかりだった。

 この日、今季、象潟のハタハタ釣りの初日に遭遇したことになる。
   12月8日(2016)

 どうもハタハタとの遭遇に半日ほどのズレがあるようだ。昨夜釣れたと徹夜明けの釣り人は云う。潮にもよるだろうが新群れは午後8時ぐらいまでに接岸することが多いようだ。
 早起きして来てみたものの釣果はご覧の通り。番屋で一袋1000円のオスハタハタを買って帰る。これはハタハタ寿司用だ。
     12月8日(2014)

 ハタハタ釣りは移住後の大きな楽しみの一つだった。秋田県生まれの私にはハタハタは懐かしくも憧れの魚だ。これが陸から釣れるというのだ。
 時化とともにやって来るぐらいの知識しかなかったが、ハタハタ釣りの名所酒田北港に時化後におっとりがたなで駆けつけたらこの年初の回遊に遭遇した。運がいいとしか言いようがない。 ブリコハタハタ交じりで30尾ほど持ち帰ることが出来た。
   
  12月8日(2015)

 西浜海水浴場から夕陽を受けた鳥海山が赤く見えていた。まだ、ここまではハタハタが来ていないようだ。
    
   12月8日(2015)


 既に接岸済の象潟漁港へ。波止に並ぶ人の列が厚みを増す。列を抜け出し、合流しているもう一つの水路へ。対岸の藻場の近くに仕掛けを投げ込む。これが的中。入れ食いだ。それにしても藻掛かりが多い。
 この日もブリコハタハタは一尾も混じらなかった。メスは産卵が住むとサッと深海に帰っていくが、オスはウロチョロしながらメスの次の回遊を待つという。
   
  12月10日(2015)

十二月十日。この時期にしては珍しく海はべた凪に近かった。防波堤に立って覗くと岸壁に沿ってハタハタの群れが行ったり来たり。始めてみる海中でのハタハタの行動だった。
 釣れに釣れた。それもブリコハタハタが半数も混じった。午前、午後それぞれ二~三時間ずつ釣って、クーラー2杯、150尾ほども釣れた。

 その夜、ブリコハタハタの味噌田楽を喰い放題とばかりに堪能した。ズルズルと粘るブリコを吸い込むと遠い子供の頃の記憶が蘇ってくるのだった。
   
  12月11日(2015)

 象潟での初漁はオスハタハタばかりだった。頭、内臓、尾を取り除き、中塩を振って丸一日置いてから、赤水が出なくなるまで水洗いする。次に、一晩から丸一日酢に浸す。それを一口サイズに切って、麹、御飯、大根、ニンジン、唐辛子、ゆずなどと笹の葉で一段毎仕切りながら重ね漬けする。最上部は笹の葉で覆い、重しをして一か月熟成させる。

 秋田県人が好きなハタハタずしだ。
     12月11日(2014)

 升川鮭人工孵化場で無料のイヨボヤ作りの講習会があった。無料のうえに試作したイヨボヤは持ち帰っていいと云う。
 イヨボヤは新潟県村上市の特産品だ。講師は村上市の名人。今の時期のサケはメジカと呼ばれ大きいものは10キロにもなる。私のも7~8キロはある大物。振り回されるようにして何とか捌いて形にした。
   
12月12日(2015)

 酒田北港にもハタハタ釣りの釣り人が押しかけている。例年12月10日前後が初日になる。今年は少し遅れている。

 辛うじて20~30尾釣れたが、本体の接岸はまだだ。


 
     12月17日(2014)

 ハタハタ寿司がほどよく仕上がった。
   
   12月19日(2016)

 この日も酒田北港にも地元吹浦漁港にもハタハの姿は見えない。日が高くなっていたが性懲りもなく象潟漁港へ。もうピークは過ぎたようで釣り人の姿はまばらだ。
 水路の出口から少し沖目のポイントを投げ釣りで探る。ここは根掛かりの多いポイントだが水路内で釣れない時でもポツリポツリと釣れた実績がある。
 この日も仕掛けを3組ほど失った。それでも、放精したオスばかりだったが20尾ほど釣れた。

 
      12月20日(2016)

 
地元吹浦漁港にようやくハタハタがやって来た。去年に比べて10日は遅れての接岸だ。
 偵察隊らしく群れは小さい。それでもブリコハタハタが3割ほど混じった。
      12月21日(2016)

 
接岸2日目。情報はすぐに伝わる。午前中が勝負だ。昨日よりは群れが濃くなっている。20センチ級の良型ブリコハタハタが竿をしならせる。
 大振りのブリコハタハタの味噌田楽が楽しみだ。
   12月21日(2015)

 ハタハタ釣りの名所酒田北港だ。外側の防波堤を波が乗り越えている。高さが水面から3mはあるはずだ。こんな日でも肩を擦れ合うように釣り人が並んでいる。ハタハタ釣りには近郊だけでなく内陸部からもわんさかと釣り人が押し寄せる。
 もっとも季節を感じる光景だ。
   12月25日(2014)

 腹ぺちゃのハタハタは鰓刺しの丸干しに。
      12月25日(2016)

 いよいよ本隊が接岸。早朝釣り場に着いた時は4~5人しか釣り人はいなかった。それが、どんどん増えてお昼ごろには70~80名にもなった。
 正午の時報を聞いて引き上げる。100尾ほどは釣ったはずだ。
 午後はビデオカメラを持って様子見に。
   12月26日(2016)

 これがゴッコ。全身ブヨブヨ。硬い骨はない。腹にはパンパンに卵が詰まっていた。釣り仲間の漁師の息子が60センチ超のスズキと一緒に持ってきてくれたものだ。
 ぶつ切りにして味噌汁にする。コラーゲンが全身に沁みていく。
     12月26日(2014)

 イヨボヤの講習会で持ち帰ったサケが大分乾いてきた。正月に試食してみるか・・・。
      12月29日(2016)

 思わぬ頂き物だった。若手の釣り人が帰りしなに声を掛けて来て「くれる」と云うのだ。スズキと云うには少々小型でフッコ級だがハタハタスズキの呼び名があるようにハタハタを飽食してよく肥えている。
 正月の刺身用にと家に帰って早速捌く。結構な大きさ卵が腹に詰まっていた。サクどりしてすぐ冷凍庫に。
 東京湾の臭いスズキしか食べたことがなかったが、このスズキは脂も乗って絶品だった。
 来期はスズキ釣りに挑戦だ。
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