庄内 季節ハタハタ釣り 苦戦日記 
 
 2018年12月9日には、すでに季節ハタハタの群れが酒田北港にやって来ていたが、そのことを知らなかった。何故なら秋田県の八森、男鹿に斥候隊の気配があったばかりだったからだ。例年なら、庄内浜は秋田県のそれらの地域から遅れること一週間から十日と云うのが常識だ。これは異変と言ってもいい。
 私の2018年度季節ハタハタ釣りの初出動は12月11日だった。偵察のつもりで象潟漁港へ向かった。


 12月10日   これは、酒田北港に近い国道7号線沿いにある釣具店「トミヤマ」のホームページに、12月10日にアップされた情報である。
 酒田北港の水路にも12月9日の午後に第一陣が入って来ていたのである。
 私はこれを見逃していた。


  私がここ庄内に移住したのは2014年の4月だった。ハタハタは、私の様な秋田県人にとって思い入れが深い、冬の食卓に欠かせない魚だ。内陸育ちの私は経験がないが、その魚が群れになって海岸近くまで押し寄せ、誰にでも釣れると言う。移住当初から、釣り好きの期待はその時を思い描き膨らむばかりだった。
 その年の12月、念願だった季節ハタハタ釣りを初体験する。熱い思いが通じたのか、運よく第一陣の群れが入ったその日、その時に行き合わせた。初体験、見よう見まねながらも100尾を超す釣果に恵まれたのだった。
 しかし、翌年からは苦戦が続いた。それもそのはずでハタハタの漁獲量はその年を境に半減していた。
 


 象潟漁港
釣り人が次々と押しかけ、割り込みを繰り返す
 12月11日

 今日は昨日までとは違い風もなく時折陽が射す穏やかな天気。様子見だが、しっかりと道具は積み込んで、国道7号線を北上する。季節ハタハタは北から接岸する。
 まずは、象潟へ。水路が見えるあたりで釣りの帰りと思しき車とすれ違い、窓を開けて状況を尋ねてみる。「今日は波がないから食いが悪いよ。ん、昨日は釣れたな」とのこと。群れは一昨日(12月9日)の午後から入り出したと云う。

 水路の向こうに防波堤が見える。水路の出口付近に4~5人の釣り人が、防波堤には15人ほどの釣り人がいる。人数は少ない方だ。しかし、次々と釣り人がやって来て終いには身動きが出来ないほどの混み様に。
 一級ポイントは防波堤側だ。目を凝らすと結構頻繁に竿が上がり、ひらひらと魚影が舞う。水路をぐるりと回り、防波堤への降り口に近い船着き場近くに路上駐車。漁師の邪魔にならない場所だ。

 灯台に近い方がよく釣れるが、私の対人距離感では割り込みは不可。止む無く、隣の若者の二人組に断りを入れて一番端に入れてもらう。彼らのうちの一人はまさに入れ食いだ。アンダースローで仕掛けを飛ばし、竿を立てるともう乗っている。私も期待に胸弾ませながらアンダースローを繰り返すが、まったく当たらない。なのに、隣の若者は二人して連発だ。
 誘い、仕掛け、ポイントなどなど盗み見て、出来る範囲で真似てみるも状況は全く変わらない。さらに悪いことに魚が釣れない分根掛かりが頻発する。彼らが去った後同じ場所を攻めてみたが「釣れない」と云う状況は変わらない。場所ではない。仕掛けも含めた釣り方が原因だが、経験不足は如何ともしがたい。嫌な時間が過ぎていく。
 

 潮が動き出すようになって足元でも釣れ始める。空いていた私の左隣にも釣り人が並び、これが竿入れから入れ食いだ。それでも、右隣に割り込んだ釣り人が私同様釣れないからまだ救われる。
 そのうち、海中にハタハタの姿が時々見えるようになった。仕掛けが降りていくとハタハタが反転するようにしてサビキを追いかけていく。ハタハタは居る。あとは如何にハリ掛かりさせるかだ。しかし、アワセのタイミングがなかなか合わない。研究の余地ありだ。
 隣は入れ食いでほとんどスレで上がってくる。私のはほぼ100%ハリを咥えて釣れてくる。この差は仕掛けの可能性大だ。私のはアジ釣りに使っていたハリに返しのあるサビキだが、彼らは返しのないハタハタ専用のサビキだ。それの方がハリ掛かりは良いはずだ。結局3時間ほど粘って放精済みの痩せた2年魚が30尾ほど釣れただけだった。
 帰路浜売りの一袋1000円なりハタハタを購入する。おばちゃんが「これが重いよ」と勧めてくれたのは1~2年魚の雄ばかり集めた袋。2~3年魚主体の袋と持ち比べてみると確かに重く、家で計量したら8キロほど入っていた。しかし、これらは市場に出せない一番のクズだ。後で考えてハメられたと思ったが、飯鮨にする奴だからと自分を納得させる。


 酒田北港水路 
シンクいっぱいの釣果


貴重なブリコハタハタ
 12月12日

 昨日、山形のローカルTV局の夕方のニュースで酒田北港の季節ハタハタ釣りが紹介された。5年振りに本格的な群れが入って来たと云う地元の釣具店のコメントもあった。

 酒田北港の季節ハタハタは、私が移住した年、これはまさに5年前にあたるのだが、季節ハタハタ釣り初体験の私にもほぼ入れ食いで釣れた。偶然も偶然、初体験のその日は第一陣がやって来た日でもあった。「今釣れだした」と入れ食いを連発する地元の釣り人の傍で、見よう見まねで100尾は釣ったはずだ。その中には4年もののブリコハタハタが結構混じっていた。それまでは本職の方の不漁が続き、大きいものは一尾1000円もしていたことがあったから、憧れのブリコハタハタを貪り食ったことを覚えている。

 その年は夢中になって釣り歩き、行く度に大釣りし、冷凍庫に入りきらなくなったこともあって、秋田県の内陸に住む中学の同級生などににも随分と送ってやったものだ。

 次の年は事前にイメージトレーニングもし、仕掛けも大量に買い込み、万全の準備を整えて臨んだが、酒田北港にはほとんど群れが入ってこなかった。止む無く秋田県側に幾度となく遠征を繰り返したが、これも絶不調。 秋田県側の釣り場は酒田北港に比べたら狭い。よく釣れる場所には人々が割り込みを繰り返し、半身を突き出して竿を振るような状態になる。そんな人込みが苦手で端っこで釣ったこともあり、5尾だ10尾だで帰る日がほとんどだった。そして、それが去年まで続いていた。

 小雨模様の中、午前5時少し前に酒田北港に向けて家を出る。釣り場までは車で20分ほどだ。夜が明けるのは6時半ごろ。水路に建てられた風車の灯りが水面を照らしていて真っ暗ではないが手元で作業するには暗い。ヘッドライトは必需品だ。水路の長さは2キロはあるはずだ。ともかく長い。200~300人が並んでも、それほど窮屈ではないだろう。好きな釣り場だ。

 ここも良く釣れる場所とそれほどでもない場所とがある。釣れる場所を中心に、すでに50~60人が竿を出している。ハタハタは満遍なく釣れている。かなり大きな群れが入り込んでいるようだ。入れ食いを連発している人の隣が大きく空いていたのでそこに入れてもらう。 しかし、こちらは入れ食いとはいかない。何かが違うのだ。これはかなり経ってから分かったことだが、仕掛けの下ろす位置が関係していた。その時のハタハタは壁に沿って移動していたのだ。40~50センチずれると釣れ方がガラリと変わることがよくある。仕掛けを下ろす位置は要注意だ。 

 サビキの選定も重要だ。私の通常の仕掛けはラメ入りのスキン赤サビキ。これは、アジ、カマス用だが、ハタハタにも使っている。しかし、時間帯、潮色などで食いが極端に落ちることがある。今日も明るくなってから食いが落ちたのでハモ皮にチェンジ。

 チョイ投げして連釣する若手も居た。周りを見ながら釣り方を変えることもありだ。 新群れがどんどん入ってきているようだ。ブリコハタハタが結構混じる。オスも放精した後で痩せてペッタンコと云うこともない。美味そうだ。ただ惜しむらくは小型が多い。
 メスは2~3年物が、オスは1~2年物が主体だ。八時まで釣って、布バケツほぼ満杯。100尾前後はありそうだ。うちブリコは3割強。納竿した8時ごろには釣り人の数も100人は超えているように見えた。
  夕方も行ってみたが、釣り人の数は午前に比べたら激減し、数十人ほどが竿を出していた。しかし、どの竿にもハタハタは舞っていなかった。西風が強く、沖堤を波が乗り越えてて水路になだれ落ちてくる。。竿を出さずに退散する。


 
  今年のハタハタは例年になく小さい。10~15センチが主で、そんな大きさでも抱卵しているものもあった。資料に拠れば1、2年魚だ。ハタハタに何か異変が起きているようだ。


 酒田北港

  12月13日

 昨日は午前5時ごろに釣り場に到着したが、すでに時合に入っていた。夜寝ていて、霰、雷、風の音がうるさかった。外は大荒れだ。しかし、時化とともにやってくる新群れがやってくる可能性も大だ。今朝は普段とは一時間早めて出動だ。

 道路に雪は無かったが、時折り車の正面の窓に向かって水平にミゾレが吹き付けてくる。火力脇の道路を行くと堤防を越えてきた飛沫が窓ガラスを濡らす。左折して水路に沿って車を進める。時々、沖の堤防を乗り越えて波が滝のように水路に流れ込む。でも、この程度は序の口だ。この時期には水路の西にある沖堤に間断なく波がぶつかり、飛沫は沖堤の倍近くも高く跳ね上がり、それが崩れてどっと水路へ流れ込む様は珍しくないのだ。地元ではナイアガラと呼ばれている季節ハタハタの時期の風物詩だ。

 南側から数えて2本目の風車近くに車を停める。水路への降り口に近い駐車スペースはみな塞がっているが、そこから遠い場所はガラガラだ。悪天候のせいか駐車している車の数は昨日の1/3ほどだ。ズラリと見回して、釣れている場所の検討つけて水路に降りていく。私の距離感は、ハタハタ釣りの常識の4倍ほど長いから、なかなか思った場所には入れないことになる。この日は、風車により近い場所に釣り座をとる。

 周りに釣れていると言っても、思い出したころにポツリ、ポツリと釣れる程度。入れ食い状態だった昨日とは大違いだ。それでも明け方近くの回遊を期待して竿を出す。サビキはアジ用の赤スキン。

 昨日はヘチでよく釣れた。しかし、今日は、やや遠目で当たっている。チョイ投げに切り替える。これが正解で、入れ食いとまではいかないが、5回に3回は釣れてくる。
 
ヒットするポイントはほぼ同じだ。この釣れ具合は周囲が沈黙しているだけに目立つらしい。そのうち3組の割り込みが入り、隣との間隔が私の本来の距離感の1/5ほどに狭まってしまう。両手を広げたら両隣にぶつかってしまう間隔だ。距離感は広くても寛容度は狭い私だ。こうなると気持ちに乱れが出る。さらに悪いことに、足元で釣っている隣人たちが連釣し始める。ますます苛立って調子が狂ってくる。
 悪いことは重なる。釣れ上がったハタハタを後ろに跳ね上げてしまったのでそれを取り込もうと向きを変えた拍子に転倒。したたか、コンクリートで膝を打ってしまった。身も心も、痛い、痛い。

 気持ちの乱れは釣りのリズムを狂わせる。その後、立て続けに3回も根掛かりさせる始末。こんな時は早々に切り上げるに限る。時合が来て足元でも釣れるようになっていたが納竿。時刻は午前9時を少し回ったところだった。今日は何ともすっきりしない釣行となった。  さて、釣果の方だが、ほとんどが10~15センチ級の1、2年物。それも放精を終えてやせ衰えた雄ばかり。自宅に帰ってざっと数えたら70尾ほどあったが、ブリコは数尾混じっただけだった。


 酒田北港名物ナイアガラ


 
12月14日

 暴風雪警報が継続発令されている。寝る前は「もういいや。明日のハタハタ釣りは休みだ。」と自分に言い聞かせるのだが、夜中に目覚めるといつものことだが決心が揺らぐ。朝方になっても暴風雪警報が出たままだったが、付き合いで起きた家内とコーヒーを飲んだ後、午前4時半ごろ、おもむろに家を出る。外には強風が防風林を揺らすゴーと云う音が充満している。幸い道路には雪がなかった。車の運転は楽だ。

 昨日よりも天気予報が悪いせいか酒田北港の水路に沿って設けられた駐車スペースに車の姿はまばらだ。波風が半端ではない。沖堤にぶつかり空高く飛沫が舞い上がり、それが崩れて一気に水路に流れ落ちる。ワイパーを動かさないと飛沫で視野がかすれてしまう。 
 いつものように南側2基目の風車近くに車を停めて道具を車に置いたまま様子見に出てみる。堤防に上がると、突風に何度も体ごと持っていかれそうになる。水路に降りて、ワンスパンほど歩いてみる。昨日と違って人影はまばらだ。釣れている様には見えない。車に戻り、エンジンを掛けたまま釣れるまで待機だ。

 30分ほどしてから車を出て釣り場を覗いてみる。釣り人の動きが活発だ。ハタハタが釣れ出したようだ。取って返し、道具を持って水路に降り、降り口に近いあたりに釣り座を決める。
 仕掛けはラメ入り赤スキンのサビキ。今まで、暗いうちはこれが一番実績がある。足元から探り始めると意外に早く1尾目が上がる。放精を終えてやせ細った小型のオスだ。2~3尾釣れると間が空くパターンが続く。周りに比べて釣れていたせいか左隣に割り込みが入る。彼もポツポツ釣れ始める。何か自分の魚が横取りされているようで不快だ。
 そのうち釣れる間合いが長くなったので思い切って灯りが届く風車の近くに移動する。ハタハタは灯りに寄ってくる習性もあるようだ。街灯の光が届く象潟漁港の水路で、夕方から餌釣りで攻めて結構な数を釣ったこともあった。

 場所替えしてすぐに当たり始めたる。先行して釣っていた両隣並だ。この日はチョイ投げは不発だ。足元に近いところで釣れる。周りが薄っすらと明るくなると、それまでは尻尾などにスレ掛かりだったのが、しっかりとハリを咥えて釣れてくるようになる。
 しかし、あたりがすっかり明るくなるとアタリが遠くなってしまった。サバ皮オーロラに仕掛けを替えても変わらない。それでも、右隣だけは連釣を続けている。仕掛けが違う。様々な光沢のフィルムを重ねて縛ってある。いかにも釣れそうだ。(後で分かったがギャング釣りだった。キラキラフィルムはカモフラージュ。)

  手持ちのコマをすべて出し切っても状況は変わらないので午前8時ごろ納竿。釣果は尻すぼみで、この日は30尾前後だった。ほとんどが1~2年ものの雄。ブリコは1尾だけだった。次からは付けエサ(オキアミS)を持参しようと思っている。


 吹浦漁港

ハタハタは確実に来ているはずだ。それはカモメが一番知っている。
しかし、釣れない。

  12月15日

 暴風雪も一段落。酒田北港には釣り人がわんさかと押しかけるに違いないからと早めの午前4時ごろに現地着。予想した通り、水路に沿って設けられた駐車スペースは満杯状態。南側に広がる枯れ草が残る空き地にも車がズラリ。水路に降りて様子を窺う。もう、200人は居るかと思うような人の列が延々と続いている。調子は悪そうだ。ほとんど竿が上がらない。買い物かごに釣り上げたハタハタを入れている人が居た。近くによって覗き込む。50~60尾は入っている。この様子だと、すでに時合は過ぎた感じだ。

 いつものポイントは人がいっぱいで入り込む余地がない。何とか自分の距離感に合った他の場所を見つけて竿を下ろす。仕掛けはラメ入り赤スキン。下バリ2本にオキアミを付ける。直ぐにアタリ、これは行けるかと意気込んだが後が続かない。群れが薄いのか、スレてしまったのか。結局、しびれを切らして夜が明ける前に撤退。痩せた小振りの雄ハタハタ3尾の貧果だった。

 午後天気がさらに回復。家のなかでゴロゴロしていてもしょうがないので地元の漁港に行ってみる。波は3~4mとまだ高い。河口に近いあたりでかなりの数のカモメが乱舞している。流されて浮いているハタハタのブリコを狙っているのだ。防波堤の上にも驚くほど多くのカモメが羽を休めている。防波堤には打ち上げられたブリコも。確実にハタハタは来ている。しかし、どこにいるのか・・・。足元を探りながら先端近くまで行ってみるもまったく気配なし。

 諦めて別の場所に移動。ここは小さな船着き場跡。例年雄ばかりだが実績のある場所だ。先行者が一人竿を出そうとしていた。ポイントはテトラの隙間。よく根掛かりする。私は、別の場所から投げ釣りを試みたが不発

 

  
 そのまま帰るのもなんで、性懲りもなく酒田北港へ。朝方ほどの人出はないが、まだ100人を超す釣り人が並ぶ。南側の一基目と二基目の間を覗くと餌釣りの人がポツポツと上げている。その周りも餌釣りだが、釣れるの3本の置き竿をしている彼だけ。そばにコマセカゴをぶら下げた釣り人がいる。しかし、彼には釣れない。微妙だ。
 この場所は足元に産卵用のロープが張られている。居残り組を釣るには良いポイントだ。20mほど離れた場所に空きを見つけて竿を下ろす。しかし、アタリは遠かった。周りを眺めてもほとんど釣れていない。結局、2尾釣りあげただけで撤退。第二陣の新群れに期待するしかないようだ。


 象潟漁港  12月16日

 酒田北港は尻すぼみで、前日などは2回通って5尾。諦めて、朝方は地元の漁港で探り釣りするもまったく気配なし。夕方、やはり気になって再び地元の漁港を見て回るが、魚影はなし。その足で象潟漁港へ向かう。今日は日曜日。釣り場は大混雑のはずだ。そのため、そろそろ帰り支度を始める人も出てくる午後4時ごろに着くように見計らって出発だ。

 現場に着くも期待は外れて、一番の好ポイントである突堤にはまだ釣り人が鈴なりだ。そこはパスだ。いつものことだが水路は両岸とも空いている。それでも、沖に向かって左岸側はチョイ投げの釣り人が両腕を広げた間隔ぐらいで5人ほど並んでいる。いい場所に入った人は入れ食いだ。ただ、ポイントを外れると魚は釣れず根掛かりばかりになるから、ここを攻めるのは難しい。

 

 それでも、過去に少しそこから離れた場所でそこそこ釣ったこともあったので、端っこに並んで釣り開始。しかし、投入を繰り返すもアタリはなく、そのうち根掛かりで仕掛けを取られてしまう。諦めて、ガラ空きの突堤側の右岸に移動する。

 途中には、突堤の釣り人の車が道の両脇にビッシリ。しょうがなくて、かなり手前に車を停め、しばらく歩いて水路へ。竿を出す頃には薄暗くなりつつあったので、灯りの下に釣り座を置き、サビキにオキアミを付けて餌釣りだ。去年は、この釣りが的中した。今回はそれの検証だ。この釣りはシャクルよりも訊き合わせになる。餌に釣られてか、ほどなくしてアタリが出始める。どれもばっちりハリを咥えて上がってくる。釣りとしては引っ掛けよりはこの方が後味が良い。

  入れ食いとはいかないが、飽きない程度に釣れてくる。そのうち、水路に沿うように強風が吹いてきたが、水路までは大きな波はやってこないので安心して釣りを続ける。気が付くと、周りに3人ほど釣り人が増えていたが距離感を気にするような間隔ではない。ゆったりとマイペースの釣りに専念する。

 正味2時間ほどの釣りだったが30尾ほど釣り上げていた。まずまずだ。しかし、惜しむらくは放精を終えた雄ハタハタ、それも小型の1、2年物ばかりだ。それでも、魚はそこそこ居残っているようなので、ここはまだ楽しめそうだ。



象潟漁港
 12月17日

  午前4時ごろに小雨降る中家を出て酒田北港に向かう。未練がましいが気になってしょうがないのだ。しかし、到着して水路を覗き込むも釣り人の姿はほとんどない。車はそこそこ停まっているから、中で様子見らしい。産卵ロープが張られた辺りで竿を出すも気配が全くない。早々に竿を畳み、象潟漁港へ向かう。

 水路左岸寄りの路上には2台先行車が停まっているだけ。空いている。突堤の方にもチラチラとヘッドランプの灯りが動いて見えるが数は多くない。水路に近づき様子を見ると、先端に入った釣り人は入れ食い状態だ。対岸もやはり先端付近では頻繁に竿が上がる。私は、昨日と同じ餌釣りで、その入れ食いの釣り人の隣で釣るも、昨日の様にはいかない。彼の1/3~1/5の確率だ。何が悪くて釣れないのか・・・。やはり、魚釣りは難しい。まだまだ、修業が足らない。

 そのうちさしもの入れ食いも終了し、彼も私並みの釣れる確率になった。時合終了と云うことで納竿。2時間ほど釣って20尾ほどだった。ストレスが溜まる。


 象潟漁港 季節ハタハタの定置網漁を終え帰港


12月18日

 実は、昨日の夕方にも象潟漁港へ行っている。朝釣りでの隣人との釣果の差に愕然としてあの手この手と攻略法を考えた末、まずは仕掛けを自作してみることにする。かつて船釣りに通っていたころ、三浦半島沿岸でのハナダイのウィリーシャクリ釣りに凝り、さまざまな工夫を凝らした仕掛けを自作して試していた。だから、ウィリー巻きは今も得意だ。雑多に釣り具が詰まった箱の中に、ウィリーはもとより、イナダ、メジマグロ釣りに使ったバケ用の魚皮も残っている。

 ハタハタ釣りでも、私はアジやカマス釣りで使う赤スキンのサビキを主に使ってきたが、周りを見ると結構大振りで派手な仕掛けを使っている。そこで、これも手持ちのチヌバリにラメ糸をウィリーで巻き、さらにその上をメタル光沢の蒸着フィルムで包んでみることにした。少しのシャクリでもハリ掛かりするように枝素の長さは極力短くもした。これは一時期狂ったカワハギ釣りでは常識。 

 今回はその自作の仕掛けを試すつもりもあった。象潟漁港の水路に着いた時はまだ明るかった。水路左岸に行く途中に車を停めたが、他に1台が停めてあるだけだった。昼間の釣り人は時合が過ぎて皆帰ってしまったらしい。要は、釣れていないということなのだ。

 前方の突堤にも人影はまばらだ。もう一人の釣り人は、投げ釣りで遠くのポイントを探っているが、釣れている気配はない。そのうち彼は引き揚げて行き私一人になる。
 私ではないが朝方入れ食いだった場所で竿を出す。しかし、全くアタリがない。魚が居れば掛からなくても、仕掛けに触る感触が伝わったりするものだが、それもない。チョイ投げも試みるも、これも反応なし。魚のいない時は新しい仕掛けのテストにもならないので、いつものラメ入り赤スキンでの餌釣りに戻す。魚が回ってきたのは暗くなり、街灯の光が海面を明るく照らすようになってからだった。しかし、次がなかなか来ない。そこそこの群れだと2~3尾は立て続けにアタルはずなのに・・・。

 また一人来たが、彼も先端からの投げ釣り。水路は私の独り舞台なので場所を移動しながら探り釣りだ。やはり、夜は灯りに寄るようだ。時折り、灯りの下で、姿は見えないが魚が餌を追いかけてきて水面に水紋を描く。ハタハタでなければ、小メバルだ。周りが闇に包まれるとアタリが増えてくる。しかし、なかなかハリ掛かりしない。反し付きで、ハリも小さい、普通のサビキを使う時のジレンマだ。

 雨が本降りとなってきて寒い。出かける前に風呂に入ってきたこともある。ようやく時合に入ったが風邪をひく前に退散だ。今回は痩せハタハタが5~6尾だった。

 

  この痩せハタハタだが、焼いても煮ても美味くない。なら釣りに行かなければいいのだが、いつかは新群れに当たりそうで出かけてしまう。そこで、この痩せハタハタを絶品料理にする方法を公開だ。捌くと分かるのだが、白身はアナゴによく似ている。だから、天ぷら、フライ、さらにはそれらの甘酢あんかけが結構いけるのである。
 下拵えはキスの天ぷらと同様に背開きだ。ヌルが強いので手こずるかも知れないが、頭と腹を取り除き、背開きにする。白子は捨てないで取って置き、適量まとめて衣をつけて揚げる。これも美味い。ともかく、まだ試していないなら絶対お勧めだ。美味い美味いと食べてあげるとハタハタも成仏だ。


   12月21日

 今朝は、渓流竿(尺アジ用に使っている超硬調子6mの渓流竿)で餌釣りをしてみた。午前5時ごろから始めたが、ここ象潟漁港では、こんな釣り方をしているのは私以外にはいない。アジのイサザ釣りのように、砂に混ぜたアミを時々撒いてやると効果的なはずだが、今回は無しにした。
 街灯の灯りで照らされた水面に向かって時々魚が浮いてきてパシャッと音を立てたりする。この素早い動きはおそらくメバルだろう。たまにゆらりと見える隠れする魚影はハタハタだ。

 

 

 ヤマメバリにSサイズのオキアミを付けて仕掛けを落としてやる。ウキ下は一ヒロ~一ヒロ半。すぐにウキにアタリが出て、ゆっくりとウキが沈んでいく。いきなり合わせずに、一呼吸おいて竿を立てる。
 アジ釣りでも同じだが、魚が餌を咥えても一気には引き込まず、大抵ゆるゆるとウキが沈み込んでいく。確実にハリ掛かりさせるには、ハリを飲み込ませるぐらいの方が良い。
 コマセをしないこともあってハタハタはすぐに移動してしまうらしい。次が来るまで結構間が空いてしまう。それでも、シャクリ釣り並みには間違いなく釣れる。強風で竿が煽られるようなことがなければ、浮き釣りもお勧めだ。
 辺りが白々と明るくなる頃が時合だ。場所による差はあるものの普通のシャクリ釣りにもアタリが活発になる。定置網を仕掛けに船が出ていく。海の様子を見にきて話しかけてきた漁師によると、釣り人の状況を見て網を仕掛けるのだとか。今年の季節ハタハタは小型だし、雄ばかりでメスが少ないとも言っていた。
  
 周りがすっかり明るくなりアタリが遠くなったので、今朝は場所が空いている投げ釣りに変えてみる。これは一投目からヒット。以後入れ食い状態となる。しかし、根掛かりが多い。たちまち仕掛けを4組失う。この釣りは根掛かりを防ぐ工夫がいる。途中で気が付いて、ハリ数を減らし、下ハリからオモリまでの間隔を長くする。これでも、根掛かりも殆どしなくなる。
 まだまだ釣れ盛っている8時半ごろに納竿。釣果はオスばかりだが60~70尾ほど。



 背開き 天ぷらやフライ用



寒こうじを使った飯鮨
 12月23日

 この3連休は、ハタハタ釣りは休みだ。とてもあの混雑には耐えられないからだ。昨日地元の漁港で話を交わした釣り人によると、酒田北港も象潟漁港も大盛況だったらしい。酒田北港は水路の北側でポツリポツリ釣れていたらしい。象潟漁港にも行ってみたが低調で、ここに移動して穴釣りに切り替えだと言う。

 地元漁港の堤防の上にはブリコ交じりのカモメの糞がいっぱい落ちていた。期待して水面を覗き込んで歩き回ってみたが魚影は見つからなかった。ハタハタはやって来て、港内に居つくことなくすぐに去ってしまったようだ。

 夕方散歩がてら行ってみた時はハタハタ釣りの格好をしている釣り人が一人いた。そばに行ってみると釣れていたのはカタクチイワシ。水面を覗き込むとたまにカタクチイワシが横切る。酒田北港の南突堤では青物が釣れていたらしい。このイワシの群れに青物が付いてきている可能性もあるが、これも唯一人のルアー釣りの釣り人にはアタリが無いらしかった。 

閑話休題 

 さて、釣ったハタハタの始末だが、ほとんどが小型でやせ細ったオスハタハタだから、そのまま小分けして冷凍庫に入れるのが常だ。正直なところ焼いても煮ても美味しくないのでたまる一方だ。冷凍庫の中は浜で買ったハタハタもあったりして、ハタハタ尽くしだ。これではハタハタに申し訳ない。そこで、釣りに出かけなかった昨日は前日釣った分(100尾近くあったが)を背開きにし、一部はフライに残りを冷凍にした。

 ハタハタの身はアナゴに似ている。だから、天ぷら、フライが美味い。それらのあんかけもいける。煮アナゴならぬ煮ハタハタも行けるかもしれないと思ったりしているが、これはまだ試していない。ともかく、今年のハタハタは小振りだ。捌こうとすると一大決心がいる。

 さらに、暇に飽かせて冷凍庫からも取り出して、ハタハタ寿司(飯鮨)を仕込んでみた。三枚に下ろし、強塩に一晩ほど漬け込む。その後、水洗いと塩出しを繰り返す。水洗いは残り水が澄んで見えるまで繰り返す。これで、血やヌルが除かれて生臭さが無くなる。それをザルにあけて水を切り、三杯酢に丸一日漬け込む。あとは水を切って、一口大に刻み、予め塩を振って水切りして置いた大根と人参のみじん切り(イチョウ切りでも良い)、ユズ、寒こうじを混ぜて2~3日置くと出来上がりだ。

 地元の伝統的な作り方は、麹とご飯を混ぜて一月ほどねかせて作るが、私のは寒こうじを使う簡便な方法だ。我家では寒こうじも炊飯器の保温を利用した手作りで、肉、魚の熟成に、野菜の一夜漬けにと大活躍だ。

 料理はアイデア次第。神の魚「鰰」をより美味しく感謝して頂き成仏してもらうのも釣り人の心構えだ。


打ち上げられたブリコ 12月24日

 地元吹浦漁港に様子見に通っているが、昨日まではハタハタの群れを確認することが出来ずにいる。ハタハタが回遊するのは第一堤防の内側と第三堤防の外と内側。この港は東側を除き三方に遮蔽物がないから、季節風が強く吹き付ける日は釣りにならない。ハタハタが釣れるのは暴風雪が嘘のように止んで、束の間の凪が訪れた時に限られる。群れが入ると、堤防の上から黒い塊がゆっくりと防波堤の壁に沿って移動するのが見える。長い防波堤だがハタハタが溜まる場所も決まっている。新群れが入った当初は、産卵を控えて腹パンパンのメスが数釣れる。しかし、それも一昨年まで。去年も今年も、まだ、そんな群れを見ていない。

 潮が澄み気味の時はハタハタがハリ掛かりする様を上から見ることが出来る。密集した魚群だから落ちてゆく仕掛けに偶然引っ掛けられる魚もいる。しゃくり上げ時にスレでハリ掛かりするのもいる。最初に掛かった魚が動き回り、その時に別のがハリに引っかかることもある。見ていると面白い。

 仕掛けの近くで白い腹を見せてヒラをうつ魚もいる。これはハリを咥えに来た魚だ。ほとんどが傍にある仕掛けを無視したように泳いでいるのに、中には食い気を誘われて突然ハリに食いつく魚もいる。

 ハタハタ釣り初心者のころはやみくもにシャクっていたものだが、最近は誘ってハリに食いつかせて釣ることの方が多くなった。そうしないと釣れないと云うこともあるからだ。群れが濃い時はシャクって引っ掛ける釣りの方が数釣れる。しかし、最近は濃い群れに当たることが殆ど無くなっている。だから、力任せにシャクったんでは寄ってきたハタハタをかえって追い返してしまうことにもなり、釣果が上がらなくなってしまうからだ。

 

 私は、究極の釣り方だが、居残りのハタハタには餌釣り、それも渓流竿で浮き釣りすることもある。ただ、竿があおられる風が強い日や、潮が早い日は不向きで、その都度切り替えがいる。 

 魚のことはカモメに訊けだが、ハタハタにおいてもそれは言える。今の時期、時化の海にカモメが乱舞する防波堤に乗ってみると、至る所にハタハタのブリコの混じった糞が残されている。今年も吹浦漁港でカモメの乱舞を何度か目撃した。ハタハタは確実に来ている。しかし、波が高くて、とてもその時は防波堤に上がれない。凪を待って出かけるのだが、いつも、カモメもハタハタも気配を消してしまった後だ。


 1月5日

 酒田北港でハタハタが釣れ続いている。私も5日と6日に行った。結論から言うと両日とも私だけは惨敗だった。
 5日は、現場着が午前5時ごろ。まだ、暗い。既に、南側2基目の風車の周りには5~6人の釣り人が入っていた。季節風が強く吹いていて、水路の外側防波堤はナイアガラ状態。入れ食い状態の隣が広く空いていたので、隣で竿を下ろす。しかし、釣れない。隣は相変わらず入れ食い状態だ。仕掛けを替えたり、餌を付けて見たり、仕掛けを下ろす位置をずらしてみたり、はてはシャクリ幅を変えてみたりするも状況は変わらない。ドツボにハマった感じだ。過去に何度も経験した嫌な時間が流れていく。

 空が白んでくると、さしもの隣人にもアタリが遠くなる。彼は、まもなく竿を畳んで帰っていった。2時間ほどの間に、布バケツの魚を二度もクーラーに移し替えていたから、100や150尾はあったに違いない。私は、痩せハタハタが4尾。その彼だが、帰り際におもむろに海中から水中ライトを引き揚げたものだ。

 その日は家に帰ってから反省とイメージトレーニングをし、昼食後に再び出かける。心乱れる人込みは避けて、ポツンと離れた場所に。まずは移動しながら探りり釣りだ。なかなかアタらない。何度か往復しているうちにようやく初ヒット。産卵のためのネットを張ってある場所だった。ここはひっかりが多い場所だ。だが、背に腹は代えられない。用心しながら釣る。飽きない程度に釣れる。特に特殊な釣り方をしている訳ではない。要は足元に魚が寄っているかどうかなのだ。それにしても、今朝のように、隣人とは2mぐらいしか離れていないのに、あちらは入れ食い、こちらはさっぱりと云うのはどう分析したらいいのか・・・。結論は出ていない。
 15尾ほど釣ったらパッタリと釣れなくなる。人が群れているあたりに行き、様子を見るも、食いは止まっている。今日はこれまでと納竿だ。

 1月6日

 少し早めに家を出る。現場着は午前4時半ごろか。やはり、2基目の風車の下で竿を出す。その辺りで竿を出している釣り人は5~6人。この日も、入れ食い状態の釣り人の隣に入る。隣との間隔は2~3m。ところが、この日も昨日と同じ最悪のパターン。隣は入れ食いなのに、こちらには全く釣れない。そのうち、一人がその名人のそばにぴったりとついて竿を出す。竿先の間隔は50センチほどだ。「俺にはできないな~」と呟きが口に出る。しかし、その度胸のある彼にもハタハタは微笑みかけなかった。彼もまた私と同じパターンだ。何が違うのか・・・。教えを請いたい心境だ。

 反対側には2人組がいた。彼らは煌々と水中ライトを輝かしている。徹夜組かも知れない。疲れているのか投げやりな竿捌きをしているが、それなりに釣れている。

 この日も周りが白んでくる頃には、名人たちの竿も沈黙し始める。先の名人も竿を畳んで帰っていった。何時ごろから釣り始めたかは知らないが、私が来てからでも50尾は釣っているはずだ。私も名人に習って早々に竿を畳む。小型の痩せハタハタ2尾だった。


 酒田北港 相変わらず大盛況

 1月7日

 ことハタハタ釣りに関しては、なかなか周りほど釣れないのでムキになっている。今までの経験(5年)では朝マズメと上げっぱなに食いが立つ。修業の為に日に2回は通うつもりでいたが、この日の朝は帰省していた娘を庄内空港に送っていかなくてはならず、10時ごろに上げ三分になる上っぱなを狙うことにする。
 朝の釣りが一段落した後で釣り場は空いている。見回すと、ポツンポツンと並ぶ先行者にそこそこ釣れている。釣れている隣に入って、自分だけ釣れないと云うのもみじめなものなので少し離れた場所で竿を下ろす。竿入れからしばらくは前日と同じでアタリがなかったが、いきなり入れ食いモードに突入する。仕掛けを下ろすたびに魚が触る感じが手元に伝わってくる。それまでとは全く違う。魚がいても仕掛けに触らなかったのか、それとも魚がいなかったのか・・・。この違いは何だろう。またまた、迷路に入ってしまう。

 入れ食いモードに入ると、着底して誘うと直ぐ食い、落とし込みでも
食ってくる。竿先を静止させる待ちの間にもアタリが出る。もちろん、スレではなく、ちゃんとハリを咥えて上がってくる。釣れるハタハタは二年物中心で、三年物も混じる。今まで釣ったものよりは型が良くなっている。

 そのうち、周りが混雑して来たし、入れ食いモードもやや下火になったので新場所に移動。それまでの場所からは30mほど離れたことになる。ここでも竿入れから好調で、群れの濃さを実感する。数釣ることで食わせのパターンも安定し、迷いも吹っ切れた感じだ。食わせて釣るならシャープなシャクリは禁物だ。訊くような感じで竿を立てる。食いダナも重要だ。結構浮つくこともある。待ちの間隔もある。入れ食いが下火になったなら三~五カウントぐらい待ってから誘いを入れるのが良いようだ。
 
納竿は午後一時ごろだったが、久々の束釣りだった。


   1月8日

 朝マズメを狙って午前5時半ごろに酒田北港に到着。先行者は3名。いずれも常連さんで互いに顔なじみの様だ。釣れている。彼らから3mほど離れた所で釣り始める。しかし、やはり私には釣れない。そのうち常連さんが6人に増える。言葉を交わしながら、誰もが好調に釣れている。釣り方も私とは全く違う。竿先を小刻みに跳ね上げるようにシャクリ続けている。仕掛けを盗み見るとハリの間隔も10センチほどと小さい。ハリは大きめのオーロラのフィルムに隠れて見えない。

 
ようやく空が白んでくる頃から私のサビキにもアタリが出始める。それからは五投に三度の割で釣れてくる。もちろんスレではなく、食わせだ。夢中で釣って、布バケツが満杯(100尾超)になった午前10時ごろに納竿。1~2年物が主体で、昨日よりは小振り
 
 傍に移動してきた釣り人が、常連さんの一群を見て「連中はガラガケの仕掛けを使っているよ」と囁いた。これで、自分だけが釣れなかった魔の時間のカラクリが腑に落ちたものだ。あ~嫌だ。嫌だ。
 帰宅後冷凍庫にしまい込む際に釣果を数えてみたら130尾ほどあった。卵を抱えた雌は、そのうち5尾しかなかった。
 


 1月9日

 暗いうちに起き出して外に出てみる。雨のようなミゾレのような中途半端な粒が落ちてきている。冬にしては寒くない朝だ。それでも、季節風は冬本番の吹き荒れようだ。そんな天気でも釣りキチは出掛ける。今年の季節ハタハタ釣りは、道路に雪も無く、凍結もしない分楽だ。

 竿を出したのは午前6時頃。酒田北港は、まだ、暗い。さすがに、釣り人の数は少ない。私は大抵南側2基目の風車の辺りで釣ることにしているが、今朝は10人にも満たない。隣との間隔はゆったり。もっとも、いつものガラガケの二人は仲良く1mにも満たない間隔で竿を上下している。やはり、ガラガケは確率が良い。まだ、ハタハタは居残っている。

 今朝は餌を忘れてきてしまった。餌は寄せ餌の効果もある。かじかんだ指で餌を付けるのは厄介だが、無いよりはあった方が良いようだ。周りが気になる。チラチラと様子を見る。私よりは釣れる確率が高い様に見えてしまう。竿入れから暫らくは10投に1回釣れるぐらいだった。周りが白んできてようやく5投に1回ぐらいの頻度になる。ほんの一時だったが、入れ食いタイムあった。ハタハタは、やはり、12年物が主だ。

 ガラガケの常連さんが竿を畳む頃になるとアタリが遠くなってしまった。明るくなると、夜に風車の灯りが届く辺りに寄っていた魚が散ってしまうのかもしれない。ともかく、足元に魚が寄っている時は仕掛けを上下していると気配で分かるから面白い。

 相変わらずの雨模様。合羽を着ていても沁み込んでくる。正味一時間ほどで納竿。釣果は痩せオスが15尾前後だった。実は、昨日の午後釣りにも出かけている。上げっぱな狙いだ。この日も同じような釣況で、2時間ほどでやはり15尾ほどだった。私から10mほど離れた場所で釣っていた人は結構順調に釣っていた。竿捌きを見るとそれほど手馴れているとは見えないのだが何故か釣れるのである。彼の釣り方だが、6本バリのサビキに全部餌を付けて、柔らかい竿の竿先を殆ど動かさないで待つやり方だった。私よりは先に来ていたから、魚が餌につられて足元に寄っていたのかもしれない。あるいは、他に何かコツがあるかも知れない。

 まだ、まだ納得の行くハタハタ釣りが出来ないでいる。



味醂干し
  背開きにし、中骨を除いて冷凍保存すると、天ぷら、フライ用に重宝する。
 今回は、それを味醂干しにする。酒、味醂、醤油、砂糖を好みで調合し、それに数時間漬けてから干カゴに並べて水気を飛ばす。並べた時に煎りゴマをたっぷり振りかけて置く。
 オカズはもちろんだが、酒のツマミ、お茶請けにもいい。

 





 


 火力の煙が珍しく上に上がっていた

日の出を待つ鳥海山
 1月12日

 季節ハタハタ釣りは、季節風が吹き荒れ、雪が水平にぶっ飛んでいく中で竿を振るのが当たり前だ。大抵夜の暗いうちに釣り場に向かうから、吹雪で視界が悪かったり、道路が凍結したりもするから車の運転には神経を使う。しかし、今年は暖冬で楽だ。この3連休も、庄内の冬にしては穏やかな天気が続いている。

 酒田北港のハタハタの魚影は、相変わらず結構濃いようだ。今日まで三日連続で朝マズメ釣りに通っっている。今日は60~70尾止まりだったが、昨日、一昨日と束釣りだった。

 一昨日のことだが、夜明けまで絶好調だった。スキンのサビキにオキアミ餌を付けた訊き合わせ釣り。これが、夜明け前までは的中し入れ掛りだった。ところが、夜が明けてからは極端にアタリが少なくなってしまった。 そんな中、新人がやって来て私の竿先に触れんばかりに竿を出して釣り始めた。そして、不調を私をしり目に、彼は入れ掛りを連発。当方はますます落ち込むと云う負の連鎖に。既に、布バケツに8分目ほど釣った後だから潔く竿を畳んで撤退。

 当然、横目で彼の一挙手一投足は研究済み。彼我の違いは仕掛けにあると踏む。彼は普通のハリ3本の胴付き仕掛け。おそらく、ハリもハリスも小振りにしてあるに違いない。翌日に備えて、私も胴付き仕掛けを自製。春アジ、秋アジの餌釣り用に使っていたヤマメバリを使い、ハリス1号、幹糸1.5号。もちろん、この仕掛けを使うからにはオモリも竿も変えなければならない。竿は、渓流用のルアー竿。オモリは2号。水深が深かったり、潮が早かったりすると2号のオモリでは底立ちを取るのが難しくなるが食い込みは良いはずだ。これはギリギリの選択だ。

 

 

 

 
 1月13日

 その仕掛けを持って勇躍朝マズメ釣りに。前日同様、混雑する水路を避けて新場所(温排水)で挑戦だ。ここは水深が2mほどしかない。のぞき込むとハタハタの姿が見えるほどだ。先行者が2人いた。水中ライトを点け、コマセをしながらの釣りだ。仕掛けは大ぶりのハタハタ専用仕掛け。その大ぶりのハリに、普通サイズのオキアミを付けている。

 嫌らしくない距離を保って隣で竿を出す。ハタハタを寄せてくれていたようで、竿入れから入れ掛りとなる。しかし、釣れるのは私だけ。諦めたのか先の二人は間もなく竿を畳んで引き揚げていった。しばらく一人で入れ食いを堪能する。夜明け近くになるとポツリポツリと釣り人がやってくる。水路と違って、この場所に来るような人たちは比較的のんびりしている。前日の名人は現れなかったが、2人は見た顔だ。専用の胴付き仕掛けは私だけ。やはり、この仕掛けに分がある。周りにはポツポツだが、私は相変わらず入れ掛りだ。その私にも、午前7時を回るころには、アタリが遠くなり納竿。

 小振りな1、2年物が主だが、自製の仕掛けが的中し、前日同様布バケツ8分目、120~130尾ほどの釣果。

 1月14日

 新しい仕掛けの効果を再確認したくて、早々と午前3時過ぎに自宅を出る。釣り場には20分ほどで着く。新場所には釣り人の姿は無い。風、波っ気がないのでヘッドランプを点けて海面を覗き込むと海底がすっきりと見える。しかし、ハタハタの群れは見えない。取り敢えず仕掛けを落とし込んでみる。まもなく、たまにだがチラホラと魚影が横切っていく。最初の魚を釣り落したせいか、その後はまったく魚影が見えなくなってしまう。諦めて水路に移動。いつもの南側2基目の風車下に陣取る。
 周りに釣り人は二人だけ。彼らから離れた場所で竿を出す。ここでは竿入れからアタル。好調に釣れているのを見て、一人が傍へ寄ってくる。大声でひっきりなしにしゃべくる引っ掛け組の一人だ。傍で、大きなシャクリを繰り返されるとせっかく寄っている魚が散ってしまう。

 彼から離れた位置に移動する。ここでも、活発にアタル。まだ、群れは濃いようだ。水面近くまで浮いてくるものもある。そのうちに、また、隣にシャクリ釣りの釣り人が幅寄せしてくる。ここで、また移動。しかし、もう、入れ掛りとはいかない。最後は、産卵用のネットが入っている場所まで移動。一時入れ掛りとなるも、明るくなるにつれてアタリが少なくなり、遂にはピタリと止まる。

 夜は風車の基台に設けてある照明にハタハタが集まっているようで、その付近で良く釣れている。胴付き仕掛けの夜釣りが確実かも知れない。

1月15日

 午前4時ころ水路に到着。車は少ない。10台ほど。水路に降りる。夜は光に集まるようなので風車のすぐ傍に釣り座を取る。近くに釣り人は他に一人だけ。自製の胴付き細仕掛けにオキアミSを付けてアタリを待つ。3~5カウント数えて竿先を上げて訊いてみる。モタレを感じたら竿を立てて合わせる。強く竿をあおるとせっかく寄ってきたハタハタを脅かしてしまう。そっとそっと竿を操作する。

 30尾ほど順調に釣れ続いたが、突然25センチ前後の魚の群れが頻繁に足元を横切り始める。餌を喰わせようと試みるも見向きもしない。釣り歴が長い私にも、何の魚か見分けがつかない。上から見ると細身だ。この群れの回遊を境にハタハタのアタリがピタリと止まってしまった。私が釣れているのを見て、隣にやって来た引っ掛け釣りの常連さんが竿を出していたが、この日はサビキに変えたらしい。そのサビキに、件の魚が掛かった。しかし、魚の判別がつかないらしい。見るとコノシロだった。

 寒い。足先が冷たい。今季一番の冷え込みかも知れない。一旦車に引き上げて暖房を点けて暖を取る。午前6時ごろまで車の中で過ごし、再び竿を出す。コノシロの魚影はすでに無かった。ハタハタは一投目から食ってくる。この時間になっても他に釣り人は2人だけ。6時を過ぎると、空が白んでくる。ヘッドランプの光が無くても餌付けが出来る頃になると、いつものように食いが止まってしまう。50尾ほど釣って納竿。ほとんどが15センチ前後の小型。

 


 帰路火力の北側の防波堤を通って行くと、防波堤に10人ほどが上がって竿を垂れている。車を停めて様子を見ているとポツリ、ポツリと竿が上がる。車を降り、一番端っこに行き覗き込むと、いるいるハタハタが。居残りのハタハタの他に新群れと思われる大きな塊も見える。点々と泳ぎ回る居残りの組は黒く見えるが、新群れはやや白っぽい。明らかに体色が違う。

 すぐに車に取って返し、再び道具を取り出し釣り再開。餌に食いつく様が上から良く見える。仕掛けを落とし込むと食ってくる。この様子を見て、周りに釣り人が寄ってくる。友達の友達も、挨拶も無しに肩幅が触れる近さにまで割り込んでくる。仁義なきハタハタ釣りだ。めげそうになるも場所を厳守して粘る。このお父さんたちは、この年になるまでどんな環境で生きてきたのかと訝しくなる。自分の欲望を押さえながら周りとの折り合いをつけると云うのが自分たちの社会生活だった。たかが釣りだがされど釣りなのである。

閑話休題

 ここで2時間ほど粘るも、遂には周りのプレッシャーに負けて幅寄せのお父さんに場所を明け渡す。布バケツは八分目ほどハタハタで埋まっていた。今日も束釣り(100尾超え)だ。

 残念ながら、昨夕から天気は大荒れ。ここ数日はこの状況が続くようだ。時化が収まるまでハタハタが居残ってくれるのか。



1月19日

 昨日は上げ潮時を狙って、酒田北港に様子見に行っている。午前9時頃だったが、あの長い水路に釣り人は20人ほどしかいなかった。いくつかある水路への降り口には様子見の釣り人が下の水路を覗き込んでいた。この様子だと多分釣れていない。私も伸びあがってコンクリートの壁越しに水路を覗いてみる。ほとんど竿が上がらない。餌釣りが定着してきていて、勢いよくシャクっている釣り人は殆どいない。釣りを断念して、酒田市内のスーパーでの買い物と釣具店での付けエサとヤマメバリの補充に向かう。

 秋アジ用に買い込んであった付けエサは3×2パック残っていた。餌釣り専用仕掛けに切り替えてからは消耗が激しい。1回の釣行で1パックは使う。もう在庫切れだ。ハリはヤマメバリの秋田袖7号を使っているが、ハタハタの口元が固いせいか100尾も釣ると掛かりが悪くなる。毎回交換だ。

1月20日

 驚くほど群れが濃いようだ。午前4時半ごろから竿を出したが、初めのポイント探しの時間を除き、午前9時ごろまで入れ食いが続いた。風車の灯りが届く辺りから探り始めたが、どのポイントでも直ぐに1、2尾は釣れるのだが、その後が続かないのだ。産卵用のネットを張ってある辺りも探ってみたがアタリさえなかった。結局、昨日偵察した時ポツリポツリと上がっていた辺りに見当をつけて餌を下ろすとすぐにアタる。この頃には釣り人の数も20人ほどに増えていたが、この場所は他の釣り人集団とはかなり離れている。マイペースで釣れる。釣れている時にすぐ傍に来られると、どうしても群れが右往左往して入れ食いのペースが乱れてくる。

  この日も竿は渓流用のルアー竿。3本バリの胴付仕掛けに2号のオモリ付ける。ハリスは1号。幹糸は1.5号。ハタハタならハリス0.6号、幹糸1号でもいけるが、仕掛けのカラミが多くなるので太めにしている。この道具立てだと出ている糸の長さが竿の長さよりもかなり長いので魚が掛かっても抜き上げが出来ない。適度にリールを巻き上げてから抜き上げることになる。

 リールをフリーにして仕掛けを送り込み、底立ちを取り、3~5カウント待って竿先をそっと上げて訊いてみる。その時に、竿先に微妙なアタリが出る。ゴツゴツとアタルことも無い訳ではないが極めてまれだ。所謂モタレで釣るやり方だ。直ぐにアタラナイ時は竿先を静かにあおって誘いをかけてみる。これが意外と効果的だ。

 ずっと入れ食いで周りをほとんど見ていなかったが、どこでもポツリポツリと云った感じで釣れていたようだ。餌釣りがほとんどで、中にはコマセカゴを付けている人も見かけた。コマセの集魚効果は期待できるが、出来ればイサザ釣りのようにコマセは別に撒くようにする方が良い様に思うが、自分では試していない。

 見釣りの時に良く分かるが、ハタハタは寄って来ても餌を目前にユータンすることが多々ある。警戒心を抱かせず、静かに餌を喰わせるのがコツなのだ。

 雨が断続的に降り続き、アタリも遠くなった午前9時に納竿。布バケツ7分目。100尾前後の釣果だった。2、3尾だがブリコハタハタが混じっていた。まだ、新群れも入って来ているようだ。


 
吹浦漁港
  1月24日

風雪が一段落した昨日、朝マズメを狙って酒田北港の水路へ。さすがに、もう、駐車場は閑散としている。南側2、3基目の風車近くに5~6台が停車しているだけだ。水路に降りてみる。ポツンポツンとヘッドランプの灯りが見え隠れする。先日入れ食いのあった辺りで糸を垂らす。幸先よく一投目でヒット。「今日もいけるかな」とほくそ笑むも、後続のアタリは皆無。少しづつ場所を変えて探り釣りだ。10投目に1尾の確率で食ってくるも、同場所で2尾目が掛かることはない。遠目にだが、他の釣り人たちの動きも鈍い。

 5~6尾釣ったところでアタリがパッタリ途絶えてしまう。空が微かに白んできた頃で、本来なら一番食いが立つ時刻だ。諦めて温排水側に移動する。しかし、ハタハタ釣りのポイントには誰も居なかった。嫌な予感がしたが取り敢えず竿を出すもハタハタらしいアタリは無い。何度かコツコツとアタッたが、これは別の魚。再び水路に戻るもアタリは皆無。まだ薄暗い中で納竿。長く続いた後半戦もいよいよ終盤か。 

 昼近くに、散歩がてら地元の吹浦漁港の堤防に上がってみる。まだ、カモメの小集団が羽を休めていた。堤防の上にはブリコ交じりの糞も落ちている。ハタハタは来ているようだが、ポイントが分からない。それまでに何度か探り釣りをしている。しかし、例年釣れていた場所にはハタハタの気配はなかった。昨年との違いは、第3堤防が2スパン長くなったことだ。これが大きく影響した可能性もある。いずれにしろ、近くまで回遊してきているのに釣ることが出来ないというジレンマが続いた。

 今季は海藻の生育状況も異常だ。今頃は、テトラはもとより防波堤の上まで寒ノリが着くはずが影も形も無い状況だ。例年に比べて水温、気温が高い状況が続いているようだ。

  今季のハタハタ釣りでの大きな収穫は「餌釣り」だ。昨年も象潟漁港で何度か試していたが、今年はそれの完成度を上げることが出来た。新群れでの実釣はまだだが、おそらく通用するはずだ。これで、スレで掛ける釣りから解放されるわけで、来季が楽しみだ。

  それにしても、今季吹浦港のカモメ大集団は見事だった。ハタハタの大群が何度も押し寄せていたはずだ。何とか釣る工夫をしたいものだ。


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